リバースエンジニアリング

既存製品の現物を分析し、構造や仕組み、製造方法などを明らかにすることを「リバースエンジニアリング」と呼びます。3Dスキャナーによる点群データなら、リバースエンジニアリングに必要な情報を高精度で取得可能です。自社製品の改良に役立てたり、競合他社の製品を分析したりするなど、様々な活用方法が考えられます。

有形文化財のデジタルアーカイブ

3Dスキャナーの点群データは、有形文化財のデジタルアーカイブ化にも役立っています。

文化財とは、長い歴史の中で大切に守られてきた「価値ある財産」のことです。このうち、城や寺社仏閣、工芸品や美術品などの形あるものは「有形文化財」と呼ばれ、どれだけ大切に保護しても、いずれは現在の形を保てなくなる可能性があります。劣化の兆候が見られる建物や美術品を点群データとして残しておけば、現物が朽ち果ててしまっても後世にその情報を伝えることが可能です。

地形測量

土木・インフラ工事の現場では、地形の測量に3Dスキャナーが活用されています。特に、近年はドローンを用いて上空から点群データを取得する「ドローン測量」が一般的であり、作業効率の向上に一役買っています。ドローンは比較的低空を飛行することが可能なため、点群データの精度を高められる点もメリットです。

また、計測したデータから作成した3Dモデルは、建設計画の立案にも役立ちます。

災害査定

災害査定とは、台風や地震などの被災現場を訪れ、被害の程度や復旧方法などを確認することです。従来、災害査定はすべて人力で行なわれていましたが、近年は3Dスキャナーを利用した方法が一般的になっています。被災現場の状況を点群データとして生成することで、被害の状況をより効率的に把握できるようになったのです。

現在では国土交通省も災害査定のデジタル化を推進しており、点群データを用いた災害査定研修などを実施しています。

工場などの生産設備の配置

日本各地で、工場などの生産設備の老朽化が進んでいます。しかし、古い工場の図面は紙のデータで残されていることが多く、設備の配置変えなどに必要な3Dデータは存在しない場合が大半です。

そこで注目を集めたのが、3Dスキャナーです。配線や設備が密集した工場内もスピーディかつ効率的に計測できるため、点群データの活用が急速に普及しています。もちろん、点群データは新しい工場を建設する際の検討材料としても有用です。

3Dプリンターとの併用

3Dプリンターとは、3次元データから立体物をプリントアウトする機械のことです。3Dプリンターは製造・医療など様々な業界で活用されており、元データとなる3Dモデルを作成する際に点群データを用いる場合もあります。

近年は低価格な家庭用3Dプリンターも増えており、個人でフィギュア製作などを楽しむ人も少なくありません。

プロジェクションマッピングのテスト投影

各種イベント演出として人気のプロジェクションマッピングですが、投影対象が屋外にある建築物の場合などは、そう気軽にテスト投影はできないでしょう。

そこで、建築物の点群データをもとにした模型を活用し、プロジェクションマッピングのテスト投影を行うケースが増えています。

ドラマや映画の視覚効果としての活用

ドラマや映画などの映像分野におけるVFX（視覚効果）として、点群データが活用されることも少なくありません。

例えばアクション映画では、現実世界にCGエフェクトを合成する手法が広く用いられています。しかし、本来存在しないものを違和感なく合成するためには、周囲の環境に合わせた微調整が必要です。そこで、近年ではあらかじめ撮影場所の点群データを取得し、出力した3Dモデルを参照しながらCGを制作する手法が一般的になりつつあります。