対象物によってはスキャンが難しい場合も

非接触式の3Dスキャナーは、レーザーやLEDなどの光を照射して形状を測定しています。そのため、測定対象物が光を反射しない黒や透明のもの、光沢があるものや乱反射してしまう部位などは、スキャンが難しい場合があります。

そうした場合はレーザー光を使わない接触式を使ったり、サーフェイサー（白粉）を吹き付けたりして回避します。

3Dスキャナーの性能以上に操作する人のスキルが重要

高精度な3Dスキャナーは性能以上に操作する人の技能が必要です。通常は1回のスキャンだけでなく前面や側面、上面など複数回のスキャンデータを結合し、一つのデータを作成します。その結合時に合成誤差が生じて、精度が多少落ちてしまうことになります。

誤差をなるべく小さくするためには、操作する人のスキルやソフトウェアの運用ノウハウが非常に重要です。3Dスキャナーを初めて導入する際は、サポートがしっかりした製品を選択されるのが良いでしょう。

スキャンだけで3DCADデータは作成できない

3Dスキャナーで計測したデータは点群データのため、そのまま3DCADで扱うことはできません。スキャンしたデータはCADデータへ変換する必要があります。また、単にデータを変換するだけでなく、ノイズ除去やデータ欠損箇所の補完、表面スムース処理などの編集も必要です。

データ編集の基本ステップ

3Dスキャナーで計測したデータは、点群データとして取得されますが、そのままでは実用的な形にするには不十分です。まずは、以下の基本ステップを通じてデータを編集します。

1. ノイズ除去

計測データには、環境や操作の影響でノイズが含まれることがあります。ノイズ除去ツールを使って、不要なデータを削除します。

2. データの整合性チェック

取得した点群データに欠損や重複がないかをチェックし、必要に応じて補完や修正を行います。

3. 表面スムース処理

点群データから生成された3Dモデルの表面を滑らかにするために、スムース処理を施します。これにより、より現実に近い形状が再現されます。

効果的なデータ活用方法

高精度な3Dスキャナーで取得したデータは、さまざまな分野で活用することができます。以下に、データの効果的な活用方法をいくつか紹介します。

1. 製品開発

3Dスキャナーで取得したデータを基に、CADソフトで詳細な設計を行うことで、試作品の製作が容易になります。

2. 品質管理

製品の形状や寸法を3Dスキャナーで定期的に計測し、既存の設計データと比較することで、製品の品質を高精度に管理することができます。

3. 文化財の保存

文化財や歴史的建造物を3Dスキャナーで計測し、デジタルデータとして保存することで、将来的な劣化や破損に対する対策が可能となります。

導入前に知っておきたいポイント

3Dスキャナーを導入する前に、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。

1. 機種選定

計測対象や用途に応じて、適切な3Dスキャナーを選定することが重要です。例えば、精度が求められる場合は高精度な機種を、広範囲の計測が求められる場合は広範囲をカバーできる機種を選びます。

2. トレーニング

3Dスキャナーの操作には一定のスキルが必要です。初めて導入する際は、操作トレーニングを受けることをお勧めします。

3. ソフトウェアの選定

計測データの編集や活用には、専用のソフトウェアが必要です。自社の業務に適したソフトウェアを選定し、効果的に活用するためのノウハウを蓄積しておくことが大切です。

高精度な3Dスキャナーを活用することで、業務効率の向上や品質管理の精度が高まります。導入を検討されている方は、ぜひ株式会社SGSへお問い合わせください。